伴走支援ケーススタディ
しんさくラボが取り組んでいるお客様との伴走事例を少しだけ紹介します。
◆A社|建売分譲住宅販売企業
経営基盤の再構築と組織成長戦略の共創
Overview(案件の本質)
急成長を求められる国内有数のホールディングスグループ戦略子会社において、「経営層の意識統一」「事業計画の構造化」「組織運営の標準化」が進まず、成長戦略の一貫性が欠けていた。
しんさくラボは、経営の意思決定軸と言葉を揃えるところから伴走し、10年後のビジョンを実現可能にするための“自ら学習する組織”へ転換するプロセスを伴走支援した。
Challenge(課題)
大手ホールディングスグループの成功体験が根深く、小規模子会社の俊敏性が発揮できていない
経営層・現場間で「認識の断絶」があり、具体的な戦略構築に踏み出せない
計画策定が属人化し、合理的根拠に基づく中期経営計画が作れない
評価制度・役割定義が曖昧で、部門運営や育成が場当たり的になっていた
Approach(アプローチ)
1. 経営ボードメンバーの“言語の共通化”から着手
週次ビジョンミーティングを設計
「10年後のありたい姿」を言語化
Vision / Mission / Value を“全員で”再定義
2. 事業構造を可視化し、中期計画を共同で構築
建売事業を軸に5カ年の事業モデルを共創
全社横断の KGI / CSF / KPI を体系化
出店戦略、営業戦略、役割設計を再構築
3. 人材・組織の“判断軸”を明確化
MBO導入、階層別研修体系、部門別1on1の仕組み構築
中期計画に連動した要員計画と採用戦略を設計し実行
Outcome(得られた変化)
経営陣の言葉が揃い、ビジョンが実際の計画・制度へ接続
部門長のマネジメントが可視化・標準化され、属人性が減少
KPIに基づく“対話と改善”の習慣が根づき、組織の自律性が向上
人材配置・育成が“再現性のある仕組み”として運用開始
Consultant’s Voice(伴走の視点)
経営層と現場の間には、往々にして“言葉と意味のズレ”が存在します。
この案件では、まずそのズレを解きほぐし、
「共通理解の上にしか戦略は立たない」
という原則を組織全体で共有するところから始めました。
抽象度の高い議題でも自由に議論できる場が定着したことで、課題の解像度は急激に高まり、戦略 → 計画 → 行動 が一本の線でつながるようになりました。
ビジョンに共感したメンバーが自ら動き始める瞬間。あの空気の変化こそ、組織が“学習するフェーズ”に入った証しだと実感出来ました。
◆B社|マーケティングDX企業
提案力の属人化を解消し、組織として“売れる仕組み”を再構築
Overview(案件の本質)
売れる営業担当だけが成果を上げる“属人モデル”から脱却し、
「組織として提案品質を再現できる状態」をつくりたい。
しんさくラボは、現場の成功事例を抽出し、
属人知を構造化して“共通の提案プロセス”へ変換するところから伴走した。
Challenge(課題)
提案力が特定メンバーに集中し、他のメンバーは型を持てない
営業と技術の連携が弱く、提案の幅が広がらない
単価向上・クロスセルの機会を取りこぼしていた
若手の育成が場当たり的で「育つ仕組み」が存在しない
Approach(アプローチ)
1. 現場の“勝ちパターン”をデプスインタビューで抽出
優秀営業の思考、仮説の組み立て方、顧客深掘りの方法を可視化
提案プロセス全体をモデル化
2. 提案ストーリーとプロセスを“組織の型”として再構築
ネックになりやすい場面ごとの“勝ちパターンアクション”を設計
技術サポートとの役割分担ルールを明確化
3. 実践知を形式知へ変換し、学習サイクルを実装
トーク、資料、思考プロセスをTIPS化
ワークショップとロールプレイで浸透を支援
Outcome(得られた成果)
組織で共有された「提案プロセスの共通モデル」が確立
属人知が形式知化し、若手でも再現性の高い提案が可能に
営業と技術が“同じ地図”で動き、案件の広がりが生まれた
クロスセル・アップセルの成功事例が増加し、単価改善へ寄与
Consultant’s Voice(伴走の視点)
現場には必ず“誰かだけが知っている成功の型”があります。
それを光の当たる場所に引き出し、再現可能な組織の武器に変えること。
これが提案力強化の本質です。
この案件では、メンバー同士が互いの成功パターンを「まねぶ」文化が育ち、
チーム全体で改善を続ける“成長の回路”が生まれました。
◆C社|SaaS上場企業
事業ポートフォリオの再編と、新規戦略の意思決定構造改革
Overview(案件の本質)
既存事業の再整理と新規プロダクト開発を並行し、
「どこに投資し、何をやめるか」を全社で判断できる構造をつくることがテーマ。
しんさくラボは、事業の評価軸づくりと新規領域の仮説構築を通じて、
“第二創業期”にふさわしい戦略判断の基盤づくりを伴走した。
Challenge(課題)
M&Aで拡張したプロダクト群を“共通軸”で評価できない
新規サービスの正当性を説明できるロジックが不足
事業責任者の役割が曖昧で、意思決定が属人的
中長期の重点投資領域を決める構造が弱い
Approach(アプローチ)
1. 既存プロダクトの棚卸しと、多角的評価軸の設計
収益性/成長性/自社適合性/ユニークネスを総合評価
ポートフォリオマップを再構築
2. 新規領域の“市場仮説 × アセット整合性”を設計
営業〜開発部門を横断した価値連鎖設計
新規領域の市場性検証を共同で実施
3. 意思決定の仕組みと責任範囲を可視化
プロダクト別PL導入と、事業責任者の要件を定義
Go/Not Go の判断フローを明文化
Outcome(得られた成果)
どこに集中し、どこを手放すかの基準が全社で統一
投資計画・人員配置の合理性が上がり、意思決定が高速化
新規事業の起案精度が大幅に向上
プロダクト責任者の役割が明確化し、組織の自走性が高まった
Consultant’s Voice(伴走の視点)
新規戦略は“アイデアの善し悪し”ではなく、
「なぜ今やるのか」の整合性で決まります。
その整合性を組織全体で共有できたことで、
メンバーの判断はブレなくなり、
新しい領域への挑戦が“筋の良い進め方”に変わっていきました。
◆D社|通信キャリア系SIer
受託中心の企業文化から、自社SaaS創出へ。事業開発の制度設計をゼロから構築。
Overview(案件の本質)
巨大グループの受託ビジネスから抜け出し、
「自社プロダクトで市場に打って出る」ための思考と制度が必要だった。
しんさくラボは、アセット整理・事業仮説構築・制度設計まで一気通貫で伴走し、
新規サービスが社内正式プロジェクト化されるまで伴走した。
Challenge(課題)
受託型文化が強く“自社サービスをつくる思考”が育っていない
新規事業プロセス(企画→検証→評価)の基盤がない
どんなアイデアを評価すべきかの基準が曖昧
起案チームのスキル差が大きく、進まないプロジェクトが多発
Approach(アプローチ)
1. 社内アセットの棚卸しと事業化可能性の可視化
ネットワーク・顧客基盤・営業力・開発力を価値に変換
アセット起点のサービス仮説を複数構築
2. プロトタイプ構想 × KPI設計
SaaS型サービスの基本モデルと提供価値を言語化
検証ステップごとにKPIと評価指標を設計
3. 事業開発制度のプロトタイプ化
起案フロー、フォーマット、評価基準を整備
社内展開し“仕組みとしての新規事業”を立ち上げ
Outcome(得られた成果)
新サービス案が正式プロジェクトとして承認
社内に“検証 → 学習”を回す起案制度が定着
オープン市場への展開を見据えた営業体制が立ち上がる
新規事業の進め方が標準化され、挑戦が組織文化へ浸透
Consultant’s Voice(伴走の視点)
“受託文化の殻を破る”ことは、単なるプロダクト開発ではなく、
組織の前提を問い直す作業です。
この案件では、既に保有する強みを言語化し、
「市場のどんな“不”を解消できるか?」という視点に転換できた瞬間、
メンバーの思考の深さが一気に変わりました。
◆E社|大手不動産デベロッパー
アセットを起点にしたゼロ→イチの新規事業構想と、事業開発制度設計
Overview(案件の本質)
巨大アセットを持つ大手デベロッパーが、
「本業の延長線に縛られない新規事業をどう生み出すか」
がテーマ。
しんさくラボは、アセット活用視点の仮説構築と、
ステージゲート制度のプロトタイプ化まで一貫して伴走した。
Challenge(課題)
本業が強すぎるがゆえに、新規事業が動きにくい構造
アイデアは出るが、評価基準と進め方が曖昧
専任チーム以外のメンバーを巻き込む仕組みが未整備
外部パートナーとの連携も属人的
Approach(アプローチ)
1. アセットを“事業仮説の素材”として再定義
不動産・テナント・コミュニティ・ネットワークを価値に変換
“場に集う人”を基点にした新規アイデアを構築
2. 外部パートナーとの共創デザイン
領域ごとのリーディングスタートアップをリスト化
CEO面談を設定し共創案を議論
3. ステージゲート制度のプロトタイプ構築
「誰が・何を・いつ・どの基準で判断するか」を明文化
年間5件のフィジビリティを“学習ループ”として機能させる仕組みへ
Outcome(得られた成果)
テナント向けサービス案、林業スタートアップ連携案など複数の事業アイデアが創出
新規事業提案〜評価〜実行までのプロトタイプが完成
社内で共通の“事業開発の地図”が整い、再現性のある取り組みが可能に
Consultant’s Voice(伴走の視点)
新規事業は「アイデアのセンスの勝負」だと思われがちですが、
本質は “仮説の精度と、判断基準の一貫性” です。
自社の持てる資源の意味づけを再整理し、
経営が思い描く未来図と社員のアイデアを
“同じステージゲートの地図”で結びつけたことで、
組織は初めて新しい価値を生む循環に入ります。
◆F社|保育・介護事業法人
事業多角化を支える“共通の判断軸”と人事制度を再構築
Overview(案件の本質)
保育事業から人材事業・家事代行・コンサルへ広がる多角化組織で、
「全員が同じ判断軸で意思決定できる状態」をつくることが急務だった。
しんさくラボは、理念再言語化・職能モデル・評価制度・育成プロセスまで、多領域を貫通する共通軸を整備した。
Challenge(課題)
事業領域が広がり、理念が“行動指針として機能しない”状態に
事業特性ごとに評価軸が異なり一貫性を維持することが容易でない
管理職の判断が属人的でマネジメント層の意識改革が必要
多様な人材をどのように配置し育成するかの基準が曖昧
Approach(アプローチ)
1. 経営理念の再言語化と“価値の棚卸し”
創業者の想い、保育の本質、提供する価値を言語化
全事業で共有できる価値観を可視化
2. 職能モデル・評価制度の統一化
グレード別職能定義を新設
保育・人材・ハウスキーピング等を横断できる評価指針を設計
Will/Can/Must の枠組みで育成と評価を接続
3. マネジメント研修と組織内浸透
園長・管理職向けに“判断軸の使い方”を研修
社内共有・広報支援も並行
Outcome(得られた成果)
全社で“共通言語”が整い、現場の判断が早く・ブレなくなった
異なる事業領域でも横断可能な評価制度が機能
育成が仕組みとして運用され、配置転換の精度が向上
組織に「理念が行動に変わる」文化が定着しつつある
Consultant’s Voice(伴走の視点)
経営理念とはただ“掲げるもの”ではなく、日々の業務の中で発生する判断を支える強い道具であるべきです。
このお客様では、保育現場と人材ビジネスの双方で起こる “具体的なジレンマ”を、創業者の想いを起点に再構築したことで、全て社員が迷わずに誇りを持って決断できる“実務に効く理念”へと進化しました。